オルファ株式会社

教えてください!大阪の企業![第9弾]

2017/05/17  オルファ株式会社  対談記事

  文責:平松 雅矢/桒原 明伽 

 

「教えてください!大阪の企業!第9弾~オルファ株式会社編」

今回は、刃が折れるカッターで世界的に有名な、オルファ株式会社の佐野様に取材をさせていただきました!刃が折れるカッターが世界に普及するまでにどんな苦労があったのでしょうか。創業者がカッターにかけた思いとは!?

 

 

~取材企業紹介~

オルファ株式会社(参照URL:http://www.olfa.co.jp/index.html

・所在地:大阪市東成区

・事業内容:刃物手道具の製造販売

~取材隊員紹介~

まや

話題が変な方向に行った時や論点が少しずれた時に修正をしてくれる、頼れる代表。

 

チャイ

本当に2回生なのか?ってくらいしっかりしていて、仕事は早いし正確。たまにおっちょこちょい。

 

こうき

何事にも関心が高くて、気になった事にはすぐに質問。好奇心旺盛な1回生。

 

かずと 

仕事が早く、気持ちだけは誰にも負けていない。これからの伸びが注目の1回生

 

 

 

 

こうき:「カッターナイフを作る際のライバルはいましたか?」

 

佐野様:「弊社の商品は今までに無い形で作り始めたから最初はライバル自体が存在しなかったね。むしろ日本の既存概念がライバルであったかな。日本の刃物は日本刀が代表的であったが、折れたらダメという発想であったんだよね。しかし、印刷会社ですぐに切れなくなるという課題があったんだよ。カッターを使用する際は切っ先を使うのが7割ほどなんだよ。そこで板チョコとガラスの破片という切り口から「ぽきっと」折れる刃を作ったんだよ。当然、最初は使いたくないという声があって普及するまでには苦労したね。」

 

かずと:「それはどのように乗り越えて来られたんですか?」

 

佐野様:「その時はデザイン会社の1件1件に地道に営業していったよ。市販化の初版は3000本つくったんだが、刃と持ち手部分を組み合わせて使えるものが無く、1つひとつ手作りで仕上げたんだ。そこから徐々に精度を上げていったね。」

 

かずと:「その後は順調に成長していったんですか?」

 

佐野様:「実は、アメリカの大手小売りメーカーが本格的にカッターナイフを始めてね。そこで社長が大手の脅威をプラスに捉えて「大手が入ってくるほど市場はあるんだ」と決心し増産体制に入ったんだよ。」

 

こうき:「カッターナイフを作る際の工程で一番苦労した点は何だったのでしょうか?」

 

佐野様:「代表が震災の影響もあって、中学から働いていてね。それもあって実際に自分で作る資金もノウハウも無かった。大学の研究所などと提携していって少しずつ形にしていったんだ。そういうわけで弊社は0からモノを生み出すことに一番こだわっているね。そして理念として電動は取り扱わないことにしているんだ。」

 

かずと:「販売先として輸出するのはアメリカが多いんですか?」

 

佐野様:「アメリカとカナダが全体の4分の1を占めている。ロシアは北米に次ぐ市場だね。」

 

チャイ:「どの業種に輸出されるのですか?」

 

佐野様:「弊社の商品は金物、壁紙、手芸などの会社が多いかな。ただターゲットが明確には分からなくてプロの方から小学生まで、幅広い年代に使われているんだよね。」

 

かずと:「ちなみに、いつ頃から海外展開されたのですか?」

 

佐野様:「実は創業の翌年から開始しているよ。そしてロゴマークを決めたのも社名の時と一緒の年なんだ。」

 

かずと:「すごい、先を見据えられていますね。」

 

佐野様:「個人で売っている時は岡田商会という店名でね。7、8年ほど継続していて、印刷業者で使う素材会社から資金援助を受けたんだよ。そして1957年に岡田工業を創業して、翌年に輸出を商社経由で開始したんだよ。歴史を簡単に述べると、1972年「オルファコーポレーションに改名」1976年に「本社ビル設立」という流れだね。」

 

かずと:「色んな商品を作られていらっしゃいますが、それは消費者の声から生まれたのですか?」

 

佐野様:「それもあるね。私たちが便利だろうと思ってロータリーカッターを英国に売り込みに行ったが、見向きもされなかったんだ。そんな時にパッチワークをされていた北米の女性から注文依頼がきたんだよ。」

 

まや:「カッター版も作られていますよね?」

 

佐野様:「3ミリほどの厚みが作っていたんだけど、ロータリーカッターは1.6ミリという薄型で安く販売しだして、売れたんだよ。」

 

チャイ:「色々な商品を出されていますが、毎年グッドデザイン賞を取られていますよね?」

 

佐野様:「毎年2,3本は受賞していますね。」

 

チャイ:「ちなみに年間はどのくらい新商品を生み出されているのですか?」

 

佐野様:「波はあるけど、多い年では5、6本は出しているね。」

 

かずと:「すごいですね。オルファ社のこだわりは何でしょうか?」

 

佐野様:「弊社はメイドインジャパンにこだわってるんだ。マネはしない。ニーズに合ったモノづくりというのは突き詰めていくと複雑になるんだ。けど道具はシンプルをモットーに作っているんだ。刃に関して2種類あって、白い刃はスタンダード、耐久性を重視していて、黒い刃は切れ味を重視している分、刃こぼれがしやすいんだ。スピードカッターはフッ素加工をしているから、段ボールを半分の力で切れるんだよ。そして折れ線ナシの刃も作っていて、食品加工センターに異物混入防止として販売しているんだ。」

 

こうき:「そうなんですね~本当にたくさんの種類がありますね。」

 

佐野様:「そうだね。1種類の刃を挙げても、台形の刃は右利きにも左利きにも対応しているし、通常の刃も向きを逆に変えることで右利きにも左利きにも使えるんだよ。ちなみに、ホッチキスと同じ原理で刃が6枚入っている交換不要のカッターなんてのもあるんだよ。」

 

かずと:「それはとても便利ですね~。」

 

佐野様:「そして、刃の厚さにも違いがあって、25ミリ、18ミリ、9ミリを切る対象によって使い分けることができるんだよね。その後、1つで大きいものから小さいものまで切りたいというニーズに応えて12.5ミリのサイズを生み出したんだ。」

 

かずと:「ほんとにカッターの刃は奥が深いですね~!」

 

佐野様:「ちなみにカッターの刃を折ったことはある?」

 

かずと:「1回だけあります。」

 

佐野様:「怖くなかった?」

 

かずと:「めっちゃ怖かったです。(笑)」

 

佐野様:「だよね。だから、そのために折るための器具も販売しているんだよ。」

 

チャイ:「年間の売上はどのくらい何ですか?」

 

佐野様:「年間72億くらい売り上げているかな。全体の中では替え刃の売上が多いね。個々の商品の売り上げは把握しているよ。」

 

こうき:「カッターの刃は売れ続けているんですか?」

 

佐野様:「売れ続けてるね。それは常に新しい商品を出しているからかな。売れているよ。今のカッターは安全刃がキーワードになっていてね。使う人が怪我をしにくい商品が売れているね。」

 

まや:「その安全のようなキーワード・トレンドは常に社内で情報収集されているんですか?」

 

佐野様:「してるね。北米の代理店などからニーズも吸い上げてるよ。」

 

チャイ:「ちなみに、カッターをどれくらいの重さにしようというのはあるんですか?!」

 

佐野様:「それは軽い方が良いよね。鉄アレイじゃないからね(笑)」

 

かずと:「逆に重い商品を作っても面白いかもしれませんね。力持ち向けに(笑)」

 

佐野様:「今年、創業50周年ということもあって、より多くの人に安全に使ってもらいたい。刃物というのは日常生活で必ず使うものなんだよ。」

 

チャイ:「オルファ社員の男女比はどのくらいですか?」

 

佐野様:「7:3くらいかなー。でも工場は女性の方が多いんだよ。」

 

チャイ:「え、女性の方が多いんですね!会社の制度として17時半に帰社と伺って驚いたのですが、あれはなぜ始められたのですか?」

 

佐野様:「創業者は会社の4階に住んでいて、私たちが早く帰らないと戸締りが出来ないんだよ笑」

 

チャイ:「そういうことなんですね(笑)いやぁ、本当にホワイトですね~。」

 

佐野様:「いやーどうかなぁ笑社内の中に入ってみないと分からないですよね笑」

 

まや:「佐野さんのお勤めはずっとこちらの会社ですか?」

 

佐野様:「実は途中で家業を10年ほどしていたんだよ。」

 

チャイ:「2020年に向けて何か目指されていることはありますか?」

 

佐野様:「新卒採用などは行わない方針でね。人数も創業当時に50名と決めていたんだよ。社長自ら目の届く範囲が50名だったためだね。」

 

チャイ:「もし新卒採用するとしたら、どのような学生が欲しいですか?」

 

佐野様:「社長が常々言っていた言葉があって、想像してください。パンツ一丁でアフリカにいます。その状況下でいち早く日本に帰って来れる人が欲しいね。この言葉には、社長自身が中学から住み込みで働きながら、様々な困難にも負けずに生きてきた不屈の精神のようなものが込められていると思う。」

 

こうき:「ちなみに帰って来る時もパンツ一丁ですか?」

 

佐野様:「それは羞恥心の問題があるからね、着ていても問題ないよ(笑)」

 

みんな「(爆笑)」

 

みんな「本日はありがとうございました!!」

 

 

 

*取材を終えての感想*

まや・・・オルファ社の豊富な商品は簡単に紹介して頂いただけでパフォーマンスショーのような驚きや面白さがあった。本日は貴重なお時間を取って頂き、質問にも丁寧に答えて頂きありがとうございました!

 

チャイ・・・”人々に安全、そして使いやすいカッターを提供したい”という強い思いが次の、さらに革新的な商品を生み出す原動力になっているのが取材を通して分かりました。世界中の人々に今なお使われ続ける理由は、その思いが伝わっているからだと思います。オルファ社のますますの発展を期待したいです。

 

かずと・・・私は工業高校出身です。 高校時代「利用者の立場に立って開発しろ。」というのを何度も教わりました。

オルファ社は、正しくそのような会社でした。利用者のニーズに応え、細部までこだわる、そして出来るだけ低価格で提供をする。日本の誇れる会社だと思いました。

 

こうき・・・私は一般的な形のカッターしか知らなかったので、今回の取材で様々な種類のカッターを見て、驚きました。今回、取材に応じてくださったオルファ社の佐野様に、もし新卒採用をするとしたらどのような人材が欲しいですか?(現在、オルファ社は新卒採用していません)という質問をしたときに、”アフリカから日本に、パンツ一丁で帰ってくることができる人”という回答が返ってきました。この言葉は、創業者・岡田良男さんが常々口にしていたそうで、どんな困難にも打ち勝つ不屈の精神のようなものが込められていると感じました。またそこから、どんな思いで世界初の”刃が折れるカッター”を生み出したのかが切実に伝わってきました。そして、様々な用途に合わせてより安全で、使いやすい商品を毎年生み出せるのは、創業者のその”ものづくり精神”が今もなお継承されているからだと思いました。取材を通して一つのことに”本気”になる大切さを学びました。

~特別編 学生販促隊・こうきがおすすめする商品紹介!~

  • 1956年:オルファ第一号(世界最初の折る刃式カッターナイフ)。
  • 1979年:世界最初のロータリーカッター(刃が円形で、布地やフィルムなどを切る際に便利)。
  • ロータリーコンパスカッター:コンパスのように円を描く要領で布・紙・フィルムなどを簡単、きれいな円形に切り抜ける画期的なカッター。
  • ミシン目ロータリー:紙・フィルム・ビニールなどに、必要な時に切り離せるミシン目を入れることができるカッター。
  • キリヌーク:重ねた紙の上部分だけを切ることができる一枚切りカッター。
  • Gカットはさみ:刃はフィルムやビニールも滑らず簡単にカットできるギザ加工仕上げ。
  • リミテッドMA:オルファ社独自の、裏から刃を五枚内蔵できる連発式の小型カッターナイフ。刃の交換の手間が省けて、手を止めることなく作業に集中できる。
  • ポキステーション:軽い力で恐怖感無く刃を折ることができる。

最後までお読みいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!!